性病、STD検査を怖がらないで

HIV(AIDS)の特徴

和訳すると後天性免疫不全症候群ということになる。この病気については知っている人も多いとおもう。”性病”と言えばまず間違いなくこのエイズが頭に浮かぶという人も多いだろう。
HIVウイルスとエイズを混同している人も多いと思うのでそのあたりの説明から行います。HIVウイルスに感染したからと言って直ちにエイズ患者となるわけではありません。ウイルスに感染した後、数か月〜十数年という潜伏期間を経て発症します。HIVウイルスを持っている人のことをキャリアと呼び、これが発症した場合エイズ患者となる。

感染経路

血液製剤(薬害エイズ)による感染、針事故など直接的な血液の接触、性行為等によって感染する。血液製剤による感染を除いて感染力自体はそれほど高くはない。
主な感染確率は
                           感染確率

 

  • 輸血・血液製剤などによる感染  …40〜90%
  • 母子感染                …30%
  • 膣内性行為による男性から女性 …0.1〜0.2%
  • 膣内性行為による女性から男性 …0.03〜0.09%
  • 肛門性行為による男性間     …0.1〜3%

 

その他、オーラルセックス・胎盤・産道・母乳からの感染が確認されている。

 

口腔内に傷口がない状態での軽いキス、体が触れ合うようなマッサージ、性遊具の共用しない使用、精液や分泌物の伴わない他者間のマスターベーション、一緒に入浴する行為などによって感染する可能性はないといっていい。

症状

HIV感染症はその疾患病期により、HIV初感染、慢性感染期、AIDS期の3つの時期に分けられる。1990年代までは症状発症後その多くは10〜15年で致死的免疫不全状態(AIDS期)に至っていたが、現在は抗ウイルス薬の研究も進みかなり進行が抑えられるようになっている。現在は発症から2年以内の生存率は80%と90年代の20〜40%と比べてかなり伸長している。そしてカクテル投薬を行うことで発症までの期間も数十年まで(40年生存の例もあるとか)伸長しており、治療の効果は昔と比べてかなりの改善がみられる。
初感染では半数以上に発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、発疹、筋肉痛、関節痛などの感冒様自覚症状が出現し、さらに下痢、頭痛、吐き気、嘔吐、肝脾腫(かんひしゅ)、体重減少、口腔白苔、神経症状などが出現する可能性がある。感染初期では単なる風邪と勘違いすることも多い。また、感染から早い段階でのHIV検査では、陽性反応がない例もあるので一度の検査で陰性であってものちの検査で陽性となる場合がある
慢性期の初期の状態では免疫状態が保たれており自覚症状が出現することはない。しかし、免疫機能は徐々に破綻していき、それに伴いカンジダ症、1か月以上つづく発熱、下痢などの症状が現れてくる。このため、慢性期を無症状期と症状期とに分ける場合もある。
免疫機能が破綻に瀕し重篤な日和見(ひよりみ)感染が出現するようになってくるとAIDS期となる。日和見症状とは、病原性の弱い微生物が感染し引き起こす病気のことで、通常人では免疫機能の働きによって発病することはないが、HIVキャリアの場合極度の免疫力の低下によってこのような病気が引き起こされる。AIDS期の症状はこのような日和見感染の合併症が中心となり、治療を施さなければ1〜2年程度で死に至る

検査方法

血液検査による検査が主流である。なお、どうしても人に会って検査を申し出るのが嫌な場合郵送の検査キットなどを使うことも悪くはないが、保健所などでは無料でエイズの検査をしてくれるので、そのような公的な機関を利用することも一考してほしい。

治療方法

発症前については複数の治療はHIVウイルスが成熟や増殖をすることを抑える抗ウイルス薬の投与によって発病を抑える。具体的には、核酸類似体逆転写酵素阻害剤、非核酸類似体逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、吸着阻害剤などの薬剤を各種併用して内服する。しかし、抗HIV薬は、ウイルスの増殖を抑制するのみで根絶は出来ない免疫機能を保持し、重篤なHIV・日和見疾患合併の可能性を抑え、患者のより制限の少ない日常生活の継続を支援する目的で行われる。この時点では、普通にサラリーマンとして働くことは可能であるし、実際に働いている人は多い。発症後は、感染症の予防や、悪性腫瘍発生の予防などの対処療法が中心になる。日和見症状がない場合、抗HIV療法は非常に効果的だとされているが、重篤な日和見感染を発症している場合には抗HIV療法を試みても手遅れとなる場合が多い。残念ながら完治に向かわせるような治療法は今のところ無い。その他の性病同様、早期発見早期治療が何より大切である。